建築計画説明業務のアレコレ(・やり過ぎた反対運動・恐い人達に頼んだ結果は)

テレビの報道番組で、「南青山の児童相談所建設計画」・「白金台保育施設建設計画」の説明会の様子が報道され、説明会ではお馴染みのヒステリックな声が流れていました。

以前勤めていた建設会社(東京勤務)の時の話です。

1.やり過ぎた反対運動
某区役所の建築紛争調整担当(相隣担当)のところへ打ち合わせに行った時の話です。数名のご婦人方が係長へ詰め寄り、何やら必死に訴えていました。
※東京23区(特別区)は、地方自治法で特別地方公共団体の一種とされており、市町村などと同じく議会を持ち、条例を制定したり税の徴収などを行っており、他の政令指定都市の区(行政区画)とは違います。

その係長の話ですが、「以前に、近隣へは建築主ときちんと話し合いをした方がいいですよとアドバイスをしていたのに、聞く耳をもたずに反対をした人達です。」と話していました。
先ほどのご婦人方は、前の建築計画に反対して、建築主は計画の断念に追い込まれたとのことです。この建築主は土地を手放し、事業を諦めました。(地元の反対で事業自体を諦めるなんて、人の好い建築主だったのではと思います)

この時の反対住民は、上手くいったと思っていたのでしょうが、今度の新しい土地所有者(新しい建築主)は近隣住民の話には一切聞く耳を持たず、どんどんと計画を進めていき、このご婦人方は行政の力で何とか計画を止めて貰いたいと区役所へ来ていたのです。
いくつかの区役所の紛争調整担当のところで、何度か担当者を脅し怒鳴りつけている様な人達の姿を見たことがあります。ご同業、建築主サイドの人達だろうと思いながら見ていましたが、建築主の中には行政の言うことを全く聞かない人達もいます。

新しい建築計画は、近隣住民には前の計画より更に意に沿わない内容だったのですが、後の祭りでした。行政といえども、人の財産権を好き勝手に制限出来るものではありません。
財産権は憲法(29条)で保障されています。自分の財産を活用し、事業を行うことは、公共の福祉に反することなどが無い限り本来自由です。近隣住民の都合(好き嫌いや先住権の主張等)だけで計画を止めることは出来ません。

また、反対するのは自由かもしれませんが行動には節度を持つことが必要です。当時は判例時報のような雑誌を読む機会も多かったのですが、工事の邪魔をした近隣に対し建築主が訴えを起こし、2,000万円超の損害賠償請求が認められたという判例を見たことがあります。

2.反社会的勢力の人に頼んで財産を取られた近隣の話
建築主の中にはうるさ型もいるという話をしましが、近隣さんにも何度かヤクザ屋さんに頼んで、計画を潰してやる等の脅しに近い事を言われたことがあります。

東京本社へ転勤になって間もなくの頃、街宣車が会社のビルの下へ来て会社の名前と私と同じ部署の先輩の名前をが鳴りたてていた事があり、その時は凄い部署に配属になったなと思いました。
運悪くヤクザ屋さんの対応をしなければならないことはありましたが、近隣の代理として恐い人達が出てきたことは一度もありませんでした。
街宣車が出る原因となった近隣さんは、伝聞ですが多くの財産をその反社会的勢力の関係者へ巻き上げられたらしいとのことでした。何故そのような浅はかなことをしたのだろうと思いますが、建築計画への反対も良く考えて行わないと、大怪我をすることがあります。

近隣さんから脅すような言い方で、弁護士にまかせるぞと言われこともあり(こちらは話が早く済むので歓迎でしたが)、実際に弁護士さんから連絡を貰ったこともありましたが、私の関わった弁護士さんでは建築紛争に詳しい先生には当たったことがなく、問い合わせがあった際には過去の判例等をお教えすると、それで終わりというケースが殆どでした。(お金にならないと判断したのが多いと思います)