近年、お役所の窓口対応が親切になったと感じたことはないでしょうか。以前は役所に事前に相談に行っても、書類の提出当日に担当者が代わっていたりすると、作成した書類のやり直しや訂正を求められ、再度出直さなけれならないというようなことが多々ありました。しかし、現在は以前と比べると懇切丁寧に書類の作成や手続きの流れ等を教えてくれるようになり、無駄足を運ぶようなことが少なくなったと感じます。
この理由は、平成5年(1993年)に公布された(平成6年10月施行)行政手続法のおかげだろうと思います。この法律の施行後に、法律の趣旨が徐々に浸透し、お役人の対応が良くなったように思います。
この法律は、当初『許認可』・『不利益処分』・『行政指導』の3つを規定するために設けられ、それまで担当者個人個人の考え方で裁量の範囲内?として行っていた行政処分や行政指導にルールを設け、また行政指導に従わなかった場合に不利益処分を課すことの禁止などが定められました。
※地方公共団体の行う処分・行政指導等に関しては行政手続法の適用除外となっていますが、地方公共団体は『行政手続条例』を定めて、この法律の趣旨に沿った措置を講じています。例:札幌市行政手続条例(札幌市のホームページより)
この法律の目的として第1条に「この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続き並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。」と規定しています。
行政指導は、特定人に対して役所があることを行うよう又は行わないように求めることで指導や勧告・助言などのことをいいますが、行政処分としての命令ではないので従う義務はありませんし、また罰則もありません。ただ、以前は従わなければ不利益な行為(イジワル)をされるようなこともありましたので、この法律のおかげで明確に不利益や差別的な扱いを受けることもなくなりました(と感じます)。
また行政指導は行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならず、行政指導の趣旨や内容並びに責任者を明確に示さなければならないとなっています。このことが、窓口の担当者が勝手に行っていた行政指導が無くなった理由だと思います。
各申請手続きなど、時間のある方はご自分で手続きを進められても、役所の窓口で丁寧に教えて貰えるものと思います。